9月24日。やはり南島へ出かけた。
そうはいうものの、奈屋浦へは足が向かなかった。
昨年10月7日に57cmを釣っているので、その時期になるまで、もう少しポイントを休ませたかったからである。
これからは、北西風の吹く季節になるので、これらの風に強い場所がよいと思った。
そうなると、贄浦しかない。
昭和59年、ここの赤堤防が、12月まで釣れ続いたのは古い話であるが、やはり思い出深い場所である。
しかし、この堤防はあまりにもポピュラーになりすぎた。最近は前にイカダが設置されており、縦横に張り巡らされたロープに根かがりが多すぎる。

そこで、旧漁港からボートを出すことにした。

        ここから出船 前は堤防
   デジカメを忘れたので家に帰ってから撮った
魚拓
年なしをすくい上げたタモ
具合のいいスロープがあり、ボートは難なく出せた。目の前にイカダがあったので、付近で釣ってもいいかと尋ねると良しと言うが、イカダに掛けては駄目だと業者は言う。
このイカダ回りに年なしが付いているのは間違いないと思えるのに、実に残念である。
魚探での水深は8m前後でこれも申し分ないのだが、イカダに付けさせてもらえない以上どうしようもない。


仕方がないので、目の前の堤防に上がることにした。こういうことも想定して、磯竿も持ってきていたのである。タモはボート用で短いが、伸ばせば何とかなるだろう。
堤防の根本のやや平たい磯にボートを上げておいた。こうしておく方が流される心配がなく安心だ。

堤防に上がると、やや真下にイカダがあるので、その周辺へダンゴを投入した。
今日はヌカがなかったので、「紀州マッハ」を使用した。
もともと、こういう市販の撒き餌は使わない主義だったが、肝心のヌカがないのだから、仕方がない。
今までにも、イカダ用のものや、様々市販のものを試してみたが、どれも満足行くものではなかった。
しかし、この「紀州マッハ」は比較的評判がいいようなので、使ってみる気になったのである。

混ぜ物はいっさいせず、素のままで使った。その方が、この商品本来の価値がわかりやすいと考えた。

寄りはすこぶるよく、一投目からアタリがある。何が入っているのか知らないが、沈んでいくのが早く、比重は充分である。
ただ、割れるのが少し遅く、私の自作ダンゴは15秒もすれば崩壊するのに対して、30秒以上かかっていたように思う。
アタリの後、釣り上がってきたのは、サンバソウの小さい奴である。
さらに、アヅキマス、イソベラと次から次へと掛かってくる。
ことにサンバソウは殆ど入れ食い状態でどうしようもない。
それに、どうもこのポイントは底にイカダのロープが走っているらしく、魚を掛けてから、それらしきものに巻かれて引っかかってしまう。
これではチヌを掛けても獲れないだろう。

そこで、サンバソウにも、いい加減閉口したせいもあり、今度は沖向きに釣座を移動した。

今回の問題点は、釣座が高く、ボート用のタモでは届かないということである。今日は堤防に上がる予定はなかったので、タモを短いものしか持ってきていなかった。
先ほどのポイントは、下に階段があり、それを降りれば取り込めるのだが、ここではタモはギリギリで掬えそうにない。
そんな不安はあったが、いちいち考えないことにして、釣り始めた。

相変わらず、寄りは良い。一投目からアタリが出る。合わせてみると重い。結構な引きをして、水面を割ったのは30cmはあろうかという大フグであった。
あまりにフグが大きいので、ハリを呑み込まれないようにチヌ7号に交換する。
しかし、7号のハリでさえ大フグは呑み込み、途中でハリスを切っていくのである。

ポイントを変わって1時間、フグと同じようなアタリであったが、その引きはまるで違っていた。
底へ底へと潜ろうとし、それに飽きたら、今度は左右に走り回す。
重々しく首を振る様子が海中から伝わってくる。
竿を立て、それらをしのぐと浮いてきたのは、見事なチヌであった。

かなりの大きさである。年なしかも知れない。
私は完全に空気を吸い、抵抗の弱った獲物を観察した。
ひょっとして、また、48か49cmだったらどうしよう。
問題はタモが短いことだ。だが、ハリは呑み込んでいるようだから、まずハリハズレすることはあるまい。

タモの柄をギリギリまで長く持ち、チヌの頭へ近づけた。
もう少しなのだが、届かない。
堤防の反対側へ行けば、階段があるからそこまで回ろうかとも考えた。

何のことはない。波を利用すればいいのである。
波の来るのを待っていて、その頭に乗ったところを、すくい上げたら一発で入った。

堤防に上げて、しげしげと観察するが、やはり50cmオーバーかどうか怪しい。
こんな日に限って、スケールを忘れてきている。

結局、家に帰って計測するまで、ずーっと年なしか否かを気にしていたのである。

釣行記 12に続

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